水害で犬猫と避難する|上へ移るか家を出るか
水害では、上の階へ移るか家を出るかで、持ち出す物も動く時間も変わります。どちらを選ぶかは自治体が出す避難情報とハザードマップの想定で決まります。ここでは、それが決まった後に犬猫を連れて動く順番を整理します。
このページで決まること
- 垂直避難と立ち退き避難で持ち出す物が変わる点
- ハザードマップで先に調べておく3項目
- 上階へ上げる物の順番と、降りない前提での量
- 紙・薬・フードを濡らさない袋の分け方
- 水が引いた後に家の中で見るところ
垂直避難と立ち退き避難はどう違いますか
水害の避難には2つの形があります。1つは建物の上の階へ移る垂直避難、もう1つは家を離れて指定された場所へ向かう立ち退き避難です。どちらを取るかは、住んでいる場所の浸水想定、建物の階数と構造、土砂災害の想定、そして自治体が出す避難情報で決まります。ここで自分の判断を先に置かず、発表された内容に従ってください。
飼い主が事前に決められるのは、どちらになっても動けるように準備しておくことです。垂直避難なら「上げる物」、立ち退き避難なら「持って出る物」で中身が変わります。水とフードのように両方に必要な物と、キャリーやリードのように持ち出しでだけ使う物を分けておくと、当日に袋の中身を入れ替える作業が減ります。
| 比較軸 | 垂直避難(上の階へ移る) | 立ち退き避難(家を出る) |
|---|---|---|
| 動き方 | 建物の上の階へ移る | 家を離れて指定された場所へ向かう |
| 中身が変わる物 | 上げる物(降りない前提の量) | 持って出る物(キャリー・リード) |
| 取りやすい住まい | 上階のある集合住宅など | 平屋・1階のみ・上階へ運べない場合 |
| 動くタイミング | 水位が上がる前に上げ終える | 明るいうち・道が乾いているうちに出る |
事前に調べておくことは何ですか
調べるのは3つです。自宅が浸水想定区域や土砂災害警戒区域に入っているか、入っているなら想定される浸水の深さはどれくらいか、避難場所までの経路がその区域を通るか。いずれも自治体が公開しているハザードマップで確認できます。読み方が分からない場合は、防災担当の窓口で聞けます。自分で判断せず、公開されている想定をそのまま使ってください。
そのうえで、自宅で上へ移れるかを見ます。平屋、1階だけの住戸、上階へ動物と荷物を運べない状態では、垂直避難は選べません。この場合は、早い段階で家を出るという前提になります。集合住宅の上の階に住んでいる場合は、逆に垂直避難が現実的な選択肢になりやすくなります。
犬猫を連れて行ける避難場所がどこかも、同じときに確認します。受け入れの可否と条件は自治体と施設で違います。指定避難所の名前を挙げて聞き、回答と確認した日付を書き残してください。浸水想定区域の中にある施設は、水害では使われないことがあります。地震のときと同じ場所とは限らない点も確認しておきます。
上の階へ移る場合、何をどの順で上げますか
上げる順番は、犬猫本人、水、フード、薬、トイレ用品、明かり、紙の情報の順です。犬猫を最初にするのは、後回しにすると荷物を運んでいる途中で隠れて出てこなくなるからです。猫は家の中が慌ただしくなると奥へ入ります。先にキャリーへ入れて上階の一室に置き、そこから荷物を運びます。
上げたら降りない前提で量を決めます。途中で取りに戻れると考えて少なめに上げると、水位が上がったときに動けません。水とフードは日数分、トイレ用品は複数回分を先に上げます。エレベーターは使いません。停電すれば止まり、浸水すれば動かせません。階段で何往復できるかを平常時に一度測っておくと、量の決め方が現実的になります。
上階にトイレの場所がない、という問題が起きます。猫のトイレは1つ上へ移し、犬はペットシーツで代用する形になります。使ったことのない場所や形だと使わないことがあるため、平常時に上階でも用を足せる状態を一度作っておくと確実です。使用済みの物を置く密閉容器も、同じときに上げておきます。
家を出る場合、いつ動きますか
動くのは、明るいうちで、道がまだ乾いているうちです。冠水した道を歩いて渡らないことは、多くの自治体が繰り返し案内しています。犬猫を連れていればなおさら、水が出てから動くという計画は成り立ちません。避難情報が出てから支度を始めるのではなく、雨が強まる前に支度を終えている状態にしておきます。
そのため、準備段階でどこまで済ませるかが実質的な分かれ目になります。キャリーを部屋に出しておく、袋に荷物を入れておく、車を使うなら燃料を確認しておく、といった作業は前倒しします。台風のように予測できる場面で前日から何をするかは、台風のページにまとめてあります。
猫が隠れて出てこない場合は、出発の時刻が読めなくなります。捕まえられる状態を保っておくことが、時間が決め手になる水害では特に効きます。キャリーを普段から部屋に置いておく、隠れ場所を手の届く範囲に絞っておくといった準備が、そのまま出発の早さになります。
濡らさない持ち出しはどう作りますか
濡れて困るのは、紙の情報、薬、フード、電子機器です。これらは袋に入れてからバッグへ入れます。ジッパー付きの袋を二重にするだけでも、雨の吹き込みや跳ね返り程度なら防げます。防水のバッグを1つ用意する方法もありますが、中で袋に分けておくほうが、濡れた物と乾いた物を混ぜずに済みます。
キャリーは底から濡れます。置いた場所に水がたまることがあるため、新聞紙やペットシーツを底に敷き、替えを2枚以上持ちます。タオルは体を拭く用と敷く用で分け、それぞれ何枚必要かを数えておきます。濡れた物を入れる袋も、乾いた物とは別に1枚用意してください。
紙で持つ情報は、写真、連絡先、かかりつけ、投薬の内容などです。何をどの順で書くかは、防災カードのページに分けてあります。ここで決めるのは、その紙を袋に入れて、避難バッグの取り出しやすい位置に入れておくという点です。スマートフォンの中だけに置かないでください。
車で移動してもいいですか
車が使えるのは、道が冠水する前の早い段階だけです。水が流れている道路やアンダーパスに入らないよう、自治体と警察が繰り返し案内しています。車で出るなら、その案内が出るより前に動くという計画にしてください。渋滞で車内に長くとどまることになる可能性も、時間を前倒しする理由になります。
移動した先で車内にとどまる場合は、温度、換気と脱走、排泄の3つが同時に問題になります。エンジンを止めた車内の温度は外気温より厳しい方向へ動き、窓を開ければそこが脱走口になります。車を最終的な避難先として固定せず、次に移る場所を決めたうえで使ってください。
水が引いた後は何を見ますか
家に戻ってよいかどうかは自治体の案内に従います。建物が使える状態かどうかを自分で判断しないでください。戻れることになったら、床に残った泥、割れたガラス、流れ込んだ物に注意します。犬猫は歩いた後に足をなめるため、片付けが終わるまで行動できる範囲を区切っておきます。
水に浸かったフード、開封済みの物、器をどう扱うかは見た目では分かりません。迷ったものは使わず、替えを用意します。体調に気になる点があれば動物病院に相談してください。片付けの間は玄関や窓を開けたままにする時間が長くなるため、犬猫を1部屋に入れてから作業を始めます。
よくある質問
垂直避難と立ち退き避難、どちらを選べばいいですか
飼い主が自分で決めるものではありません。自宅の浸水想定や土砂災害の想定と、自治体が出す避難情報の内容で決まります。まずハザードマップで自宅の条件を調べ、避難情報が出たらその内容に従ってください。事前に決められるのは、どちらになっても動けるように、上げる物と持って出る物を分けて用意しておくことです。判断に迷う点は、平常時に防災担当の窓口で確認しておきます。
犬と猫で動き方は違いますか
違います。犬は歩かせて移動できますが、猫は家の中が慌ただしくなると隠れて出てこないことがあります。両方を飼っている場合は、猫を先にキャリーへ入れてから犬の支度に移るという順番にしておくと、出発が遅れにくくなります。犬は足元にガラスや泥が残る場所を歩くことになるため、足を拭く物と、拭いた物を入れる袋を持ち出しに含めておいてください。
2階があれば必ず垂直避難で大丈夫ですか
そうとは限りません。想定される浸水の深さが2階に達する地域、土砂災害警戒区域、建物そのものが流される恐れがある場所では、上へ移っても安全とは限らないとされています。自宅がどの区域に入っているかはハザードマップで確認し、当日は自治体が出す避難情報に従ってください。上へ移ると決めておいた家庭でも、発表の内容によっては家を出る側に変わります。
ペットを連れて行ける避難場所はどこで分かりますか
お住まいの自治体の防災担当や動物担当の窓口が確認先です。施設ごとに扱いが違うことがあるため、指定されている避難所の名前を挙げて確認してください。水害の場合、浸水想定区域の中にある施設は開設されないことがあり、地震のときとは開く場所が変わることもあります。回答と確認した日付、担当した部署名を書き残しておくと、翌年の見直しに使えます。
確認に使う一次情報
この備えに使う防災用品
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最終更新: 2026-08-25 / 編集: ペット防災室編集部(株式会社Mycat)。
このページは家庭内で情報を整理するための資料です。診断・治療の判断はできません。体調の変化があるときは動物病院に相談してください。避難の可否や方法は、お住まいの自治体および避難所の指示に従ってください。