犬の避難は抱っこか歩きか|階段と路面で決める

犬を連れて家を出るとき、最初に詰まるのは玄関の外ではなく階段です。停電すればエレベーターは止まり、上の階から下までは自分の足で降りることになります。ここでは、犬を抱えて降りるのか歩かせるのかを、階段と外の路面という2か所で決めます。

このページで決まること

  • 荷物を持った状態で階段を1往復して測る手順
  • 小型・中型・大型で変わる抱え方と、続けられる時間
  • 抱えるときに手を空けるための荷物の組み直し方
  • 犬用の靴を使うかどうかと、使わないときの代わりの手
  • 途中で抱えられないと分かったときの切り替え先

先に決めるのは、玄関から外までをどう降りるか

家の中の備えと、外に出てからの備えのあいだには、階段という区間があります。集合住宅で停電すればエレベーターは使えず、そこだけが出口になります。この区間を何分で降りられるかが分からないまま持ち物を選ぶと、当日に持てない荷物ができます。

決め方は2段階です。まず階段で、犬を抱えて降りるのか、自分の足で歩かせるのかを決めます。次に外の路面を見て、そのまま歩かせ続けられるのかを決めます。この2つは別の判断で、階段は抱えて降り、外に出てからは歩かせるという組み合わせも普通にあります。

品目の話はそのあとです。抱えると決まれば手をどう空けるかが問題になり、歩かせると決まれば足元をどう扱うかが問題になります。どちらを選ぶかで、買う物も、平常時に練習しておく内容も変わります。

荷物を持った状態で、階段を1往復してみる

判定は、体重の表を見るより実際に降りてみるほうが早く済みます。条件は3つです。エレベーターは使わない、普段の持ち出し袋を背負う、途中で立ち止まらない。この3つを守って、自分の階から1階まで降ります。

見るのは4つです。降りきるまでにかかった時間、途中で持ち替えた回数、手すりに手をかけられたか、降りた直後に息が上がっているか。息が上がっている場合は、その先に避難先までの距離が残っていることを思い出してください。階段は道のりの入り口にすぎません。

往復にするのは、戻る動きも含めて確かめるためです。忘れ物を取りに戻る、家族をもう一度呼びに行くといった動きは実際に起きます。1往復して無理があるなら、抱えて降りるという選択肢は消えたものとして、次の手に移ります。

体格で変わる抱え方と、続けられる時間

小型犬は抱えられますが、片手で抱えると階段で体勢を崩したときに支えられません。胸に引き寄せて前腕全体で受け、もう一方の手を手すりに使える形にします。持ち上げるときは、胸の下と後ろ足の付け根の2か所を同時に支えます。前脚の下だけをつかんで持ち上げる形は、上下に揺れる階段では避けます。

中型犬は、抱えられるかどうかの境目にいます。持ち上げること自体はできても、降りきるまで続かないことが多く、途中で降ろす場所が必要になります。踊り場を降ろす場所と決めて、そこまでの段数を数えておくと、当日に迷いません。数えた段数は、家族が読める場所に書いておきます。

大型犬は、抱えて階段を降りる前提を最初から外します。持ち上げられたとしても、降りている途中で身をよじると支えきれません。歩いて降りることになるので、下りで人のほうが引かれる問題への対処が中心になります。手順は大型犬のページに分けてあるので、そちらの階段の項を先に読んでください。

犬の体格別に、階段を抱えて降りられるかと抱え方の注意点をまとめた早見表
体格 抱えて階段を降りられるか 抱え方・注意点
小型犬 抱えられる 胸に引き寄せ前腕全体で受け、もう一方の手を手すりに。胸の下と後ろ足の付け根を同時に支える
中型犬 境目。降りきるまで続かないことが多い 踊り場を降ろす場所と決め、そこまでの段数を数えて家族が読める場所に書く
大型犬 抱えて降りる前提を最初から外す 歩いて降りる。下りで人のほうが引かれる問題への対処が中心になる

抱えると決めたら、荷物を先に組み直す

抱えると、両手または片手がふさがります。ここで効いてくるのは重さではなく手の数です。持ち出す物を1つの手提げにまとめていると、犬を抱えた瞬間に持てなくなります。背負う袋に寄せて、手に持つ物をゼロにするのが基本の形になります。

それでも手に残るのはリードです。抱えて運ぶあいだもリードは付けたままにします。降ろした瞬間に走り出すことがあり、抱えているあいだは制御ができないためです。リードは短く持つか、手首に一度巻いておきます。

組み直したら、玄関を出るところまで通しでやってみます。靴を履く、鍵を閉める、扉を開けるという3つの動作は、犬を抱えたままではやりにくく、どこで犬を降ろすかを決めておく必要があります。降ろせる場所がない家では、抱える前に扉を開けておく順番に変えます。

歩かせるなら、足元をどう扱うかを決める

外に出たあとの路面は、普段の散歩と別物になっていることがあります。割れたガラスや瓦、金属片が落ちている、夏はアスファルトの温度が上がる、冬は凍る。犬用の靴はこれらから足を守る手段の1つですが、どの犬にも向くわけではありません。

靴を使うかどうかの決め手は、平常時に慣らす時間を取れるかどうかです。初めて履いた犬は足を上げたまま進まなくなることがあります。慣らすときは1回を短くして日を分けて繰り返し、階段を降りる予定があるなら、履いた状態で階段も試しておきます。慣れないまま当日を迎えるくらいなら、履かせずに済む形にするほうが確実です。

履かせないと決めた場合は、代わりの手段を必ず決めます。歩けない路面に出たときに代わりがないと、その場から進めなくなります。小型犬なら抱える、大型犬なら経路を変えるというように、路面ごとの逃げ道を先に用意しておきます。

履かせても履かせなくても、移動のあとに足の裏を見る時間を取ります。細かい破片は歩いているあいだは気づきません。拭くための布を持ち出しに入れておき、傷や出血、歩き方の変化があるときは動物病院に相談してください。

共用の階段は、自分たちだけの通路ではない

集合住宅の階段は、同じ時間に他の住人も降りてきます。犬が止まったとき、後ろに人が続いていると、その場で判断を迫られます。先に決めておくのは、どこで脇によけるかです。踊り場を1か所決めて、そこで犬を座らせ、先に行ってもらう形にします。

犬が苦手な人も、アレルギーのある人も同じ階段を使います。すれ違うときは、犬を壁側ではなく自分の体の側に寄せます。この動きは平常時の散歩でも練習できます。エレベーターの中でやっていることを、階段でもできるようにしておくだけです。

停電した階段は暗く、非常灯だけになることがあります。片手が犬でふさがるため、頭に付けるライトか、首から下げられるライトのほうが扱いやすくなります。手に持つライトは、犬を抱えた時点で使えなくなります。

途中で無理だと分かったときの切り替え先

1往復して降りられなかった場合、手は3つあります。荷物と犬を2回に分けて運ぶ、平らな経路を取れるならカートに切り替える、建物が安全なら在宅で過ごす。どれを選ぶかは、建物の状態と外の状況で決まります。

2回に分ける形は、犬を一度外に置くことになります。見てもらえる相手がいるか、係留できる物があるかを先に確かめておいてください。どちらもない場合、この方法は使えません。

カートは階段では使えません。平屋や低層で平らな経路を取れる場合に限られます。カートそのものの選び方と乗せる練習は、歩ける距離が短くなった犬を前提にしたシニア犬のページに分けてあります。

在宅で過ごす判断は、建物の安全が前提です。損傷がある、火の気がある、浸水の恐れがあるといった場合は、負担があっても外に出ることになります。行き先の決め方は、同行避難の準備を扱うページで整理しています。

よくある質問

マンションの何階までなら犬を抱えて階段を降りられますか

階数だけでは決められません。同じ体重でも、抱え方、荷物の量、手すりが使えるかで変わります。普段の持ち出し袋を背負った状態で、自分の階から1階まで1往復してみてください。途中で持ち替えた回数と、降りた直後の息の上がり方が判断材料になります。降りきれない場合は、2回に分ける、平らな経路ならカートを使う、建物が安全なら在宅で過ごすという順に切り替えます。

犬用の靴は避難のときに必要ですか

歩かせて移動するなら、路面の温度や割れた破片から足を守る手段になります。決め手は、平常時に慣らす時間を取れるかどうかです。初めて履いた犬は足を上げたまま進まなくなることがあるので、1回を短くして日を分けて繰り返し、階段も履いた状態で試しておきます。慣れないまま当日を迎えるくらいなら、履かせずに抱える手段を用意するほうが確実です。移動のあとは、履かせたかどうかにかかわらず足の裏を見てください。

抱っこ紐やスリングは犬の避難に使えますか

手を空けられるので階段では有利になりますが、選ぶ前に2つを確かめてください。1つは、犬が動いたときに飛び出さない形かどうか。もう1つは、装着したまま階段を降りられるかどうかです。どちらも実際に装着して降りてみないと分かりません。使う場合もリードは付けたままにして、降ろした瞬間に走り出さない状態にしておきます。

犬を抱えて階段を降りるとき、荷物はどうしますか

手に持つ物をゼロにして、背負う袋に寄せます。手提げにまとめていると、犬を抱えた時点で持てなくなります。玄関で靴を履く、鍵を閉める、扉を開けるという動作は犬を抱えたままではやりにくいので、どこで犬を降ろすかまで決めておいてください。降ろせる場所がない場合は、抱える前に扉を開けておく順番に変えます。

大型犬は抱えて避難できますか

抱えて階段を降りる前提は最初から外してください。持ち上げられたとしても、降りている途中で身をよじると支えきれません。大型犬は歩いて降りることになるため、下りで人のほうが引かれる問題への対処が中心になります。手順は大型犬のページに分けてあります。すでに歩ける距離が短くなっている場合は、運ぶ手段と人数を決める側の準備になるので、シニア犬のページを見てください。

確認に使う一次情報

この備えに使う防災用品

まだ迷うときは|無料ツールと相談

あわせて確認するページ

最終更新: 2026-08-26 / 編集: ペット防災室編集部(株式会社Mycat)。

このページは家庭内で情報を整理するための資料です。診断・治療の判断はできません。体調の変化があるときは動物病院に相談してください。避難の可否や方法は、お住まいの自治体および避難所の指示に従ってください。