犬の防災グッズは移動方法から決める

犬と暮らす家庭が防災グッズを選ぶとき、先に決めるのは品目ではなく、避難のときに犬をどう動かすかです。歩かせるのか、抱えるのか、キャリーに入れるのか、カートを使うのか。ここが決まると、持ち物はほとんど自動的に決まります。

このページで決まること

  • 4つの移動方法から逆算する持ち物の決め方
  • 階段を1階分降りて行う移動方法の判定
  • 移動方法ごとに増える物と要らなくなる物
  • 体重から出す水の量と運搬の限界
  • 次に読む体格別ページの選び方

移動方法が決まらないと持ち物が決まらない

犬の防災グッズという言葉でまとめられていても、体重2kgの犬と40kgの犬では中身が変わります。ただし変わる理由は体格そのものではなく、体格の結果として選べる移動方法が違うことです。歩かせるなら足元を守る物と排泄の処理が中心になり、抱えるなら両手が空く荷物の作り方が中心になります。

先に品目を集めると、当日に使えない物が混ざります。歩かせられない犬に靴を買っても出番はなく、抱えられない犬のために抱っこ紐を買っても持ち上げられません。移動方法を決めてから買うと、必要な物が減ります。

4つの移動方法を、階段で判定する

選べるのは、自分で歩かせる、抱えて運ぶ、キャリーに入れて運ぶ、カートや台車で運ぶの4つです。どれが選べるかは、紙の上の体重では判定できません。犬を抱えて階段を1階分降りてみてください。降りられなければ、抱えるという選択肢は消えます。

判定するときは、エレベーターが止まっている前提にします。集合住宅の上の階に住んでいる場合、階数がそのまま負担の倍率になります。荷物を一緒に持てるか、途中で休まずに降りられるか、片手が手すりに使えるかも同時に見てください。1階分で厳しければ、複数回に分けるか、カートを使うか、そもそも在宅で過ごすかという別の判断に移ります。

歩かせる場合に増える物

路面が普段と違うことが前提になります。夏はアスファルトの温度が上がり、災害のあとは割れたガラスや瓦、金属片が落ちていることがあります。犬用の靴を使う選択はありますが、当日に初めて履かせると歩かなくなることが多いので、使う予定があるなら平常時に履かせて散歩に出ておきます。

履かせない選択もあります。その場合は、抱える手段を必ず用意しておきます。歩けない路面に出たときに、代わりの手段がないと進めません。排泄の処理袋と水は多めに持ちます。屋外で排泄する犬ほど、移動中と避難先での処理量が増えるためです。

抱える・キャリーで運ぶ場合に増える物

この2つは、両手または片手がふさがります。手提げの荷物を減らし、背負う形に寄せるのが基本です。持ち出す物を1つの大きなバッグにまとめると、犬を抱えたまま持てなくなります。背負う袋と、犬を入れる容器の2つに分けて、実際に持って玄関から外に出てみてください。

キャリーは、犬が中で立って向きを変えられるかを目安にします。抱えて運ぶ場合は、抱える時間が長く続かないため、途中で降ろせる場所と休む間隔を決めておきます。小型犬でつまずきやすいところは小型犬のページ、歩けない前提で組み立てる場合は老犬のページに分けて書いています。

水とフードは体重で量が変わる

犬猫の1日の飲水量として、体重1kgあたり50mL前後という目安が示されることが多くあります。体重20kgの犬ならおよそ1L、7日分でおよそ7Lという計算です。暑い時期や投薬中は変わるため、うちの子の数字はかかりつけの動物病院で確認してください。

犬の場合、この計算をすると運搬が先に限界に来ます。水は1Lでおよそ1kgなので、7L分を人の水と一緒に運ぶのは現実的ではありません。そこで、持ち出す分と家に置く分を最初から分けます。持ち出すのは最初の1日から2日分で、残りは家の取り出しやすい場所に置く形です。断水したときの運び方は水のページ、何日分を置くかは備蓄日数のページで扱っています。

体重別に見る1日と7日分の飲み水の量の目安
体重 1日の水 7日分の目安
5kg 約250mL 約1.75L
10kg 約500mL 約3.5L
20kg 約1L 約7L
30kg 約1.5L 約10.5L

避難先で犬に必要になる物

避難先で問題になりやすいのは、犬が鳴くことと、待機する場所の作り方です。持ち物として足すのは、折りたためるケージ、ケージを覆う布、いつも使っている敷物、短く持てる係留用のリードの4つです。いつもの匂いがある敷物は、新しく買った物より落ち着きやすいことがあります。

物を足すだけでは足りず、飼い主が離れても待てる状態を平常時に作っておく必要があります。ケージに入って落ち着けること、その状態で飼い主が離れても待てることの2つが、避難先での困りごとの多くに関わります。何を何週間で練習するか、ケージをどこに置いて何で覆うかは、避難所で犬が吠える場面を扱うページにまとめてあります。

装着具は、災害時の使い方で一度見直す

毎日の散歩で問題なく使えている首輪、ハーネス、リードでも、避難のときは使い方が変わります。大きな音で強く引く、雨や浸水で濡れる、段差で持ち上げる、という3つが加わるためです。買い替えの前に、いま使っている物を強く引いて金具と縫製を確かめ、後ろに引いて抜けないかを見てください。

この確認は、季節の変わり目に合わせて年に数回で足ります。散歩のたびに見るのは続かないので、カレンダーに日を入れてしまう方が確実です。体重が変わった犬や成長期の犬は、去年の穴の位置のままになっていないかも合わせて見ます。首輪とハーネスの役割の分け方は、小型犬のページでも扱っています。

判定結果で次に読むページを決め、玄関まで一度歩いてみる

階段の判定で抱えて運べた場合は、小型犬のページに進みます。抱っことキャリーとリードをどう組み合わせるか、階段で荷物をどう分けるかが具体的に書いてあります。抱えられなかった場合や、犬が自分で歩けなくなってきている場合は、老犬のページの組み立てが近くなります。まだ避難所へ行くのか家にとどまるのかが決まっていない場合は、避難先を選ぶページを先に読んでください。

進む先が決まったら、揃えた物を全部持って、犬を連れて玄関から外に出るところまでを一度やります。ここで初めて、片手がふさがること、扉を開けられないこと、袋が肩から落ちることが分かります。買い足すのはそのあとにすると、要らない物が減ります。確認は一度で終わりにせず、季節の変わり目に見直してください。夏と冬で必要な物は入れ替わり、犬の体重も変わります。続ける形が必要な場合は、月次の点検ページに項目を用意しています。

よくある質問

犬の防災グッズは何から買えばいいですか

まず買わずに、犬を抱えて階段を1階分降りてみてください。降りられるかどうかで、抱えて運ぶのか、歩かせるのか、カートを使うのかが決まります。ここが決まると、必要な物がかなり絞られます。買う順は、移動に必要な物、水とフード、避難先での待機に使う物の順です。エレベーターは止まっている前提で判定してください。

犬用の靴は必要ですか

歩かせて避難する前提であれば、路面の熱や割れた破片から足を守る目的で使う選択があります。ただし当日に初めて履かせると歩かなくなることが多いので、使うと決めたなら平常時に履かせて散歩に出ておいてください。履かせないという選択もあります。その場合は、歩けない路面に出たときに抱えるか、カートを使うという代わりの手段を必ず用意しておきます。

大型犬を連れて避難所へ行けますか

扱いは自治体と施設によって違い、頭数や大きさで条件が付く場合もあります。指定されている避難所の名前を挙げて、平常時に電話で確認してください。回答と確認した日付、担当した部署名を書き残しておくと、翌年の見直しに使えます。運用は年度で変わることがあります。避難所だけを前提にせず、在宅や車での待機も選択肢として並べておくと、当日の判断が楽になります。

犬のフードは何日分を備えればいいですか

市販のドライフードを食べている健康な犬であれば、7日分を目標にする考え方が広く案内されています。療法食を食べている場合や毎日の投薬がある場合は、買い足しに受診が必要になるため、それより長い余裕を見てください。必要な期間は、かかりつけの動物病院に確認するのが確実です。何グラム必要かは、いま実際に量って与えている量に日数と頭数を掛けます。計算の詰め方は備蓄日数のページで扱っています。

確認に使う一次情報

この備えに使う防災用品

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最終更新: 2026-08-26 / 編集: ペット防災室編集部(株式会社Mycat)。

このページは家庭内で情報を整理するための資料です。診断・治療の判断はできません。体調の変化があるときは動物病院に相談してください。避難の可否や方法は、お住まいの自治体および避難所の指示に従ってください。