大型犬の防災グッズは抱えられない前提で選ぶ
体重が20kgを超える犬との避難では、抱えて運ぶという選択肢が最初から使えません。ここでは自分の足で歩ける大型犬を歩かせて避難させる前提で、装備、階段、避難先の面積、水の量を決めます。歩けない場合の運搬は別ページで扱います。
このページで決まること
- 抱えられない前提での装備の二重化
- 階段を下りる手順と途中で待たせる場所
- クレートの内寸から出す避難先の必要面積
- 体重から計算する1日の水の量と運搬重量
- 屋外の待機場所を割り当てられた前提でそろえる4つ
- 小型犬・老犬のページとの使い分け
抱えられない犬の避難は何から決めますか
最初に決めるのは、抱えて運ぶ選択肢を使わないという前提です。抱きかかえる、キャリーに入れる、カートに乗せるという方法には、いずれも体格の上限があります。上限を超えている場合、避難の計画は「自分の足で歩かせて、途中で止まらせない」という形になります。ここを曖昧にしたまま用品だけを買うと、当日に使えない物が増えます。
そのうえで、歩く経路を実際に歩いて確認します。見るのは、階段の幅と滑りやすさ、途中で待てる踊り場、落下物やガラスがたまりやすい場所、避難先までの距離です。犬と一緒に歩き、立ち止まりやすい場所と、そこで待たせられるかを確かめます。地図の上だけで決めた経路は、当日ほとんど役に立ちません。
歩けない日が来た場合に何で運ぶかは、老犬との避難のページで扱っています。このページが対象にしているのは、いま自分の足で歩ける犬です。年齢や関節の状態で歩ける距離が変わってきたと感じたら、経路の下見をやり直し、運ぶ手段を決める側の準備へ切り替えてください。
階段はどう下りますか
停電するとエレベーターは止まります。大型犬にとって下りの階段は勢いがつきやすい方向で、引かれた飼い主が一緒に転ぶ形になりやすい場所です。飼い主が先に立ち、リードを短く持ち、犬を後ろに置く形にします。荷物を持った手でリードを持たないことが条件です。背負えるバッグにして、片手を空けておきます。
途中で犬が止まったときにどうするかも決めておきます。踊り場まで戻る、そこで座らせて待つ、後から来た人に先に行ってもらう、の3つを想定しておくと当日に固まりません。集合住宅の階段は自分たちだけのものではなく、人が続けて降りてくる中で大型犬を止めることになります。待てる場所を先に決めておく意味はここにあります。
滑る床材では足が流れます。爪を切っておくこと、足裏の毛を整えておくことは平常時にできる準備です。靴やブーツを使う場合、当日に初めて履かせないでください。履くと歩き方が変わるため、履いた状態で階段を下りる練習が要ります。練習は1回では足りず、数日に分けて短く繰り返すほうが定着します。
リードとハーネスはいくつ用意しますか
2組を前提にします。金具やバックルが壊れたときに代わりがないと、そこで避難が止まるからです。1組目は普段使っているもの、2組目は防災バッグに入れっぱなしにするものという分け方にすると、管理が続きます。入れっぱなしにした側は、年に数回、実際に装着して劣化を見てください。
首輪とハーネスは役割を分けます。引く力がかかるのはハーネス、迷子札を付けるのは首輪という分け方にすると、どちらかが外れても情報が残ります。大型犬は瞬間的にかかる力が大きいため、バックルの割れ、縫製のほつれ、金具の変形を月に一度見ておきます。散歩のたびに見る場所を1か所決めておくと、点検が習慣になります。
伸縮するリードは、避難の場面では短く固定できるものへ持ち替えます。人と動物が密集する場所では長さを出せないためです。長いリードしか持っていない場合は、短い物を1本だけ足してください。持ち替える練習も一度しておくと、当日に手間取りません。
避難先で必要な面積はどう出しますか
必要な面積は、犬が伏せた状態から向きを変えられる大きさで考えます。出し方は単純です。伏せたときの体長と、立ったときの体高を測り、それより一回り大きい寸法をクレートの内寸として探します。カタログの対応体重だけで選ぶと、入るけれど向きを変えられないという状態になります。
そのクレートを置ける場所が避難先にあるかどうかは、自治体と施設によって違います。屋内か屋外か、飼い主が用意するのか、頭数や体格の制限があるのかを、指定避難所の名前を挙げて平常時に確認してください。確認した日付と、回答した部署名も書き残します。運用は年度で変わることがあります。
クレートを持ち出せない場合の代わりも書いておきます。車の中、知人宅、預け先という順で候補を並べておくと、当日に一から探さずに済みます。どの候補も、相手やルールを平常時に確認していなければ使えません。候補を書いた紙に、確認済みかどうかの印を付けておいてください。
水とフードは何キロになりますか
水は体重から計算できます。当サイトでは、犬猫の1日の飲水量の目安として体重1kgあたり50mL前後という数字を使っています。30kgの犬なら1日およそ1.5L、7日分でおよそ10.5Lという計算です。水は1Lで約1kgなので、7日分だけで10kgを超えます。この重さは、一度に持ち出せる量ではありません。
そのため、持ち出す分と家に置いておく分を最初から分けます。上の階に住んでいる場合は、給水所から運ぶ往復数も現実的な制約になります。量の決め方と運搬の考え方は、断水のページに分けてあります。なお目安の数字は季節や食事の形態、投薬の有無で変わるため、うちの子の量はかかりつけの動物病院で確認してください。
フードも体格が大きいほど1日の量が増えます。何日分を用意するかの決め方は備蓄のページで扱います。ここで押さえるのは、大型犬では「7日分」という言葉が、実際には何キロと何リットルになるのかを一度計算しておく、という点です。数字にすると、置き場所と運び方を先に考える必要が出てきます。
周りとの距離をどう作りますか
体格が大きいというだけで、周囲が身構えることがあります。避難先では、通路から離れた位置、壁を背にできる位置、人の出入りが少ない側を希望として伝えます。希望が通るとは限りませんが、伝えていなければ配慮のしようがありません。到着してから考えるより、伝える内容を先に一文にしておくほうが早く済みます。
「触らないでください」「人は好きですが驚きます」といった掲示を、クレートに付けられる形で用意しておきます。口頭で毎回説明するのは負担が大きく、飼い主が席を外している間は説明できません。吠えへの備えそのものは、避難所でのトラブルを防ぐページで扱っています。
屋外の待機場所を割り当てられた場合に何が要りますか
大型犬は、屋内に入れない扱いになることがあります。屋根のある通路、駐輪場、校庭の一角といった屋外が待機場所になる前提で、必要な物を1組そろえておきます。屋内になればそのまま使わずに済むだけなので、用意しておいて無駄にはなりません。
屋外で効くのは4つです。地面から上げる物、日と雨を遮る物、風で飛ばない重し、夜の冷えを防ぐ厚みのある敷物。コンクリートの上にクレートを直接置くと、夏は下から熱が伝わり、冬は冷えます。すのこや厚手のマットを1枚挟むだけで扱いが変わります。
係留する場合、結ぶ相手は犬が引いても動かない物にします。大型犬は瞬間的にかかる力が大きいため、折りたたみの机や軽い椅子では一緒に動きます。柱や手すりのように固定された物を選び、人の通る動線を横切らない向きにして、長さは短くまとめます。
待機場所は、割り当てられた直後がいちばん動かしやすい時間帯です。通路の正面になっていないか、雨の吹き込む向きになっていないかを最初に見て、気づいた時点で相談します。使い始めてから移動を頼むより、着いた直後のほうが調整が通りやすくなります。
小型犬・老犬のページとどう使い分けますか
小型犬のページは、抱っことキャリーが使える前提で、両手がふさがる問題を扱います。老犬のページは、歩けなくなった日を前提に、運ぶ手段と必要な人数を決めます。このページが対象にしているのは、その中間にある「歩けるが運べない犬」です。用品を選ぶ前に、自分の犬がどれに当てはまるかを決めてください。
同じ家に体格の違う犬がいる場合は、体格ごとに手順が変わります。誰から動かすか、誰を待たせるか、待たせる場所はどこかを平常時に書いておいてください。頭数が増えるほど、1回で全頭を動かせない前提になります。順番を決めていないことが、当日にいちばん時間を取ります。
| 対象 | 前提 | 備えの焦点 |
|---|---|---|
| 小型犬 | 抱っことキャリーが使える | 両手がふさがる問題 |
| 大型犬(本ページ) | 歩けるが運べない | 歩かせて止まらせない・装備の二重化 |
| 老犬 | 歩けなくなった日 | 運ぶ手段と必要な人数 |
よくある質問
大型犬は避難所に連れて行けますか
受け入れの可否と条件は自治体や施設によって異なります。体格や頭数で制限が設けられている場合もあるため、指定避難所の名前を挙げて、平常時に防災担当の窓口へ確認してください。屋内か屋外か、ケージを自分で用意するのか、飼い主が同じ場所にいられるのかまで聞いておくと、当日に迷いません。回答と確認した日付を書き残しておくと、翌年の見直しに使えます。
大型犬用の防災グッズは何から用意すればいいですか
買う前に測ることをおすすめします。伏せたときの体長、立ったときの体高、体重、自宅から1階までの階段の段数です。この4つが決まると、クレートの内寸、水の量、階段で必要な手の数が決まります。そのうえで足りないものを埋める順番は、予備のリードとハーネス、待機に使うクレート、こぼれにくい水の容器という並びになります。
大型犬が階段を下りられない場合はどうしますか
無理に下ろそうとせず、まず在宅避難を選べるかを確認します。建物に損傷がないこと、火の気がないこと、水と食料があること、トイレが使えること、暑さ寒さに対応できることが条件です。1つでも欠ける場合は移動が必要になるため、運ぶ手段と人数を決めることになります。体の状態で歩けないのか、怖がって動かないのかの判断はここではできません。動物病院に相談してください。
大型犬は1日にどれくらいの水が必要ですか
当サイトでは、体重1kgあたり50mL前後という目安を使っています。30kgの犬ならおよそ1.5L、7日分でおよそ10.5Lという計算です。ただしこれは目安で、暑い時期は増え、ドライとウェットのどちらを食べているかでも変わり、投薬中や持病がある場合は別の考え方になることがあります。うちの子の数字は、健康診断や通院の際にかかりつけの動物病院で確認してください。
大型犬の待機場所は避難所のどこになりますか
施設によって分かれます。屋内の別室、屋根のある屋外、敷地内の車やテントという形があり、体格を理由に屋外になることもあります。事前の確認では、受け入れの可否だけでなく、屋内か屋外か、クレートを自分で用意するのかまで聞いておいてください。屋外になる前提で、地面から上げる物、日と雨を遮る物、風で飛ばない重し、厚みのある敷物の4つを1組そろえておくと、どちらになっても困りません。
確認に使う一次情報
この備えに使う防災用品
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最終更新: 2026-08-26 / 編集: ペット防災室編集部(株式会社Mycat)。
このページは家庭内で情報を整理するための資料です。診断・治療の判断はできません。体調の変化があるときは動物病院に相談してください。避難の可否や方法は、お住まいの自治体および避難所の指示に従ってください。