犬に防災用の水をどう飲ませるか|飲ませ方
水そのものの確保はできたという前提で、その水を犬にどう飲ませるかを決めます。慣れない場所やキャリーの中では、置いておくだけでは口をつけない犬がいます。ここでは1日にどれだけ飲めばよいかの目安と、飲まない犬に飲ませるための具体的な手を並べます。
このページで決まること
- 1日の水量の目安を体重から計算する式
- 災害時に犬が水を飲まなくなる場面と、その理由
- 携帯ボウル・手やシリンジ・ふやかしフードの使い分け
- 飲めていないときのサインの見つけ方
- 置きっぱなしにしない、清潔な水の与え方
確保と飲ませ方は別の問題
断水に備えて水を備蓄することと、その水を犬に飲ませることは、別の準備です。水の確保については確保の側のページで扱っています。ここで扱うのは、目の前に水があるのに犬が飲まない、という場面をどう乗り切るかです。避難所やキャリーの中では、これが実際によく起きます。
犬は体の水分が足りなくなると、暑い時期は特に短時間で弱ります。飲まない状態を「そのうち飲むだろう」と放っておくのは危険です。防災の準備としては、水を用意するところで終わらせず、飲ませるところまでを一続きで練習しておく必要があります。
この判断のもとになるのが、1日にどれくらい飲めばよいかの目安です。それが分かっていないと、飲めているのか足りていないのかを判断できません。次の項で、体重から目安を出します。
1日の水量の目安を、体重から計算する
1日に必要な水の目安は、体重1kgあたり約50mLで考えます。式にすると、体重(kg)×50mL=1日の目安(mL)です。たとえば5kgの犬なら5×50で約250mL、10kgの犬なら10×50で約500mL、20kgの犬なら20×50で約1000mLが、1日の目安になります。
これはあくまで平常時の大まかな目安で、気温が高い時期や運動量が多い日は増えます。フードに含まれる水分でも一部は補われるため、飲み水だけでこの量ぴったりを飲むわけではありません。数字は「これくらい飲めていれば大きくは外していない」という目印として使ってください。
備蓄の量を決めるときも、この式が土台になります。何日分をためるかは条件で変わるので、備蓄の日数を扱うページと合わせて、うちの犬の1日量から必要な備蓄量を出しておいてください。
| 体重 | 計算式 | 1日の目安 |
|---|---|---|
| 5kg | 5×50 | 約250mL |
| 10kg | 10×50 | 約500mL |
| 20kg | 20×50 | 約1000mL |
災害時に犬が水を飲まなくなる場面
飲まなくなるのには、いくつか決まった場面があります。避難所のように音やにおい、人が多い場所で緊張しているとき。キャリーやケージから出られず、いつもの器がないとき。器が金属やプラスチックで、普段と材質が違うとき。水そのものが、普段の水道水と味やにおいが違うとき。
こうした場面では、犬は喉が渇いていても口をつけないことがあります。まずは、緊張をやわらげる工夫が先です。人の少ない場所に器を置く、飼い主が近くにいる、いつも使っている器やそれに似た器を持ち出しに入れておく、といった形で、飲める状況を作ります。
普段の器に近いものを1つ持ち出し袋に入れておくだけで、飲み始めが早くなることがあります。避難用の携帯ボウルを買ったら、平常時に一度その器で飲ませ、この器から飲むという経験をさせておいてください。当日に初めて出す器では、飲まない側の原因が増えます。
飲ませるための具体的な手
器から飲まないときの手はいくつかあります。1つ目は、フードをふやかすことです。ドライフードに水を含ませてやわらかくすると、食べながら水分をとれます。食欲がある犬には、これがいちばん無理のない飲ませ方になります。
2つ目は、手やスプーンから少しずつ与えることです。手のひらに水をためて舐めさせる、スプーンで口の横からゆっくり流す、という形で、器に近づかない犬にも水を届けられます。あわてて大量に流し込むとむせるので、少量を繰り返します。
3つ目は、器を変えることです。浅い皿、口の広いボウル、いつものマグなど、いくつか試すと口をつけるものがあります。携帯ボウルは折りたたみで軽く持ち出しやすい一方、素材や形が普段と違うので、平常時に慣らしておくと当日に効きます。薬を水に混ぜて飲ませてよいかどうかは自分で決めず、かかりつけの動物病院で確認してください。
飲めていないときのサインを見つける
どれくらい飲めているかは、量を測るのがいちばん確かです。器に入れた水の量と残った量の差で、おおよその飲んだ量が分かります。1日の目安に対して大きく足りていないなら、飲ませる手を増やす合図です。
量が測れないときは、体の様子から見ます。おしっこの回数や量が減る、口の中が乾いている、皮膚をつまむと戻りが遅い、元気がなくぐったりしている、といったところが目安になります。特に暑い時期にこうした様子が重なるときは、注意して見てください。
ここで大切なのは、素人が脱水の程度を判断して処置を決めることではありません。飲めていないサインが続く、ぐったりしている、というときは、飲ませる工夫を続けつつ、かかりつけの動物病院に連絡して指示を仰いでください。避難時にどこに連絡するかを、平常時に決めておくと動きやすくなります。
置きっぱなしにしない、清潔な水の与え方
避難時は水そのものが限られるので、清潔さを保つことが平常時以上に大事になります。器に入れた水を長時間置きっぱなしにすると、ほこりや毛が入り、気温が高いと傷みます。一度にたくさん入れず、飲む分をこまめに入れ替える形にすると、無駄も減って衛生も保てます。
器は使うたびに軽く拭ける布を用意しておきます。水が貴重な場面では洗うのも難しいので、ウェットティッシュや布で拭き取るだけでも違います。フードをふやかした残りは傷みやすいので、置いたままにせず、食べきれない分は早めに片づけます。
水の入れ物にも気を配ります。口の閉まる容器に分けておくと、ほこりが入らず持ち運びやすくなります。1日の目安量を小分けにしておくと、どれだけ飲ませたかも管理しやすくなります。飲ませ方と合わせて、清潔に保つ道具まで持ち出し袋に入れておいてください。
よくある質問
犬は1日にどれくらい水を飲めばよいですか
目安は体重1kgあたり約50mLです。式にすると体重(kg)×50mLで、5kgの犬なら約250mL、10kgなら約500mL、20kgなら約1000mLが1日の目安になります。気温が高い時期や運動量が多い日は増え、フードの水分でも一部は補われるため、飲み水だけでこの量ちょうどを飲むわけではありません。大きく外していないかの目印として使ってください。
避難所で犬が水を飲みません。どうすればよいですか
まず飲める状況を作ります。人の少ない場所に器を置き、飼い主が近くにいて、いつも使っている器に近いものを出します。それでも飲まないときは、フードを水でふやかして食べながら水分をとらせる、手のひらやスプーンから少量ずつ与える、器の形を変える、といった手を試します。飲めない状態が続くときは、かかりつけの動物病院に連絡して指示を仰いでください。
犬が脱水しているかどうか、どう見分けますか
確かなのは飲んだ量を測ることです。器に入れた量と残りの差で、おおよそ飲めた量が分かり、1日の目安に対して大きく足りなければ飲ませる手を増やします。体の様子では、おしっこが減る、口の中が乾く、皮膚をつまむと戻りが遅い、ぐったりする、が目安です。程度の判断や処置は自分で決めず、様子が続くときはかかりつけの動物病院に相談してください。
避難用に、水を飲ませる道具は何を用意すればよいですか
折りたためる携帯ボウルは軽くて持ち出しやすい道具ですが、素材や形が普段と違うので、平常時に一度その器で飲ませて慣らしておいてください。あわせて、いつもの器に近いもの、口の閉まる小分けの水容器、器を拭く布やウェットティッシュを持ち出し袋に入れておくと、飲ませ方と清潔さの両方をまかなえます。
確認に使う一次情報
この備えに使う防災用品
まだ迷うときは|無料ツールと相談
あわせて確認するページ
最終更新: 2026-08-27 / 編集: ペット防災室編集部(株式会社Mycat)。
このページは家庭内で情報を整理するための資料です。診断・治療の判断はできません。体調の変化があるときは動物病院に相談してください。避難の可否や方法は、お住まいの自治体および避難所の指示に従ってください。