ペットとの同行避難の準備は家を出るまでの分担で決まる

犬や猫と暮らす家庭が、地震や大雨で家を出ると決めた場面の話です。同行避難で詰まるのは避難所に着いてからではなく、誰が何を持つかが決まっていない玄関先です。ここでは家を出るまでの分担と経路だけを扱います。

このページで決まること

  • 同行避難と同伴避難という言葉の扱いと、自治体への聞き方
  • 誰がどの動物を運び、誰が荷物を持つかの分担
  • 避難経路を実際に歩いて測った所要時間
  • 連れ出せないときと連れて行けないときの切り分け
  • 確認した回答と確認日の残し方

同行避難と同伴避難は何が違いますか

同行避難は、飼い主が動物を連れて安全な場所まで一緒に避難する行為を指す言葉として使われます。環境省が出しているガイドラインもこの考え方で書かれています。一方の同伴避難は、避難した先で動物をどう飼養するかを指して使われることが多い言葉です。つまり同行避難ができることと、避難所で同じ部屋にいられることは別の話になります。

やっかいなのは、この2語の使い分けが自治体や施設ごとに揃っていないことです。同じ「受け入れ可」でも、屋内の別室のこともあれば、屋根のある屋外スペースのこともあります。言葉で判断せず、後述する聞き方で飼育場所そのものを確認してください。断定できるのは自分の地域の運用だけです。

家を出ると決めてから玄関を出るまでの順番

順番は、自分の身の安全、動物の確保、荷物、戸締まりの4段です。先に荷物を持つと、その後で動物を捕まえられなくなったときにやり直しになります。動物をキャリーに入れて扉を留めるところまでを最初に終わらせ、それから荷物に手を伸ばします。

動物の確保に時間がかかるのは猫と、隠れる癖のある小型犬です。呼んでも出てこない前提で、平常時から隠れ場所を数か所に絞っておくと、探す時間が短くなります。家具の下や押し入れの奥を塞いでおくのも準備のうちです。

戸締まりとブレーカーは最後にします。ここを先にやると室内が暗くなり、動物を探す作業が難しくなります。玄関の鍵、ブレーカー、ガスの元栓、持ち出す物の置き場所を紙に書いて玄関の内側に貼っておくと、慌てていても抜けにくくなります。書く順番は、実際に手を動かす順番と同じにしておいてください。読み上げながら動けるようにしておくと、家族の誰がやっても同じ結果になります。

誰が何を運ぶかを人数で割り当てる

大人の手は2本です。片手でキャリーを持つと、もう片方は手すりや傘、子どもの手に使うことになります。つまり1人が同時に運べるのは、キャリー1つと背負える荷物1つが上限だと考えて割り当てます。手提げの袋を増やすほど、階段と雨で動けなくなります。

家族が2人以上いる家庭は、動物担当と荷物担当を先に決めます。全員が別々の場所にいる時間帯もあるので、「誰が家にいても成立する組み合わせ」を2通り書いておくと使えます。頭数が運べる数を超える家庭は、往復するか分けて預けるかの判断が要るので、多頭飼いのページで扱っている実測の手順を先に済ませてください。

子どもに任せるのは、動物ではなく軽い荷物にします。動物は暴れると重心が変わるため、体格に対して重い個体を子どもが持つのは避けます。任せる荷物は、落としても割れない物、こぼれない物に限ります。飲み水のペットボトルや衣類が向いています。誰が何を持つかは口頭で決めずに紙に書き、玄関の内側に貼っておきます。

避難経路は一度歩いて時間を測る

経路の確認は、地図を見るだけでは足りません。実際にキャリーと荷物を持った状態で、指定されている避難先まで一度歩き、かかった時間を書き留めます。手ぶらのときより時間が延びるのが普通で、途中で持ち替える回数も増えます。同じ道でも、動物を連れているかどうかで通れる幅や横断のしやすさが変わるため、身軽なときの感覚は当てになりません。

測るときの条件は3つ変えます。夜間、雨、エレベーターが使えない場合です。集合住宅の上階に住んでいる場合、階段だけで大きく時間が変わります。途中で休む場所と、キャリーを地面に置ける場所を見つけておくと、当日の負担が減ります。

測った時間は、避難情報が出てから家を出るまでにどれだけ猶予を見るかの根拠になります。片道20分かかると分かっていれば、雨や夜であればさらに延びることも織り込んで動けます。時間を測ったら、測った日と条件をあわせて書き残します。体重や年齢が変わると同じ経路でも所要時間は変わるので、年に1回は測り直します。

連れ出せないときと連れて行けないときを分ける

同行避難ができない状況は2種類あります。1つは家の中の問題で、動物が出てこない、キャリーに入らない、体が大きくて運べないという場合です。これは平常時の慣らしと運搬手段で減らせます。キャリーの慣らしは当日にはできないので、時間のあるうちに進めます。

もう1つは制度と場所の問題で、避難先が受け入れていない、頭数の制限がある、飼育場所が家庭の事情に合わないという場合です。こちらは練習では解決しないため、預け先を用意するか、在宅避難や車での待機に切り替えるかの判断になります。どちらの問題なのかを先に分けておくと、対策の当たりが早くつきます。

同行避難ができない2種類の状況と、それぞれの対策の方向
区分 どんな状況か 練習で解決するか 対策の方向
連れ出せない(家の中の問題) 出てこない・キャリーに入らない・体が大きくて運べない 平常時の慣らしと運搬手段で減らせる キャリーの慣らし、運搬手段の用意
連れて行けない(制度と場所の問題) 避難先が受け入れ不可・頭数制限・飼育場所が合わない 練習では解決しない 預け先の用意、在宅避難や車での待機へ切り替え

自治体に確認するときの言い方と記録の残し方

問い合わせ先は、お住まいの自治体の防災担当か動物担当の窓口です。「ペットを連れて行けますか」とだけ聞くと、はい・いいえの回答で終わってしまいます。指定されている避難所の名前を挙げたうえで、飼育場所は屋内か屋外か、ケージは自分で用意するのか、頭数や種類の制限はあるか、飼い主が同じ建物にいられるかを1つずつ聞きます。

聞いた内容は、回答、確認した日付、答えてくれた部署名の3点をセットで残します。運用は年度や担当者で変わることがあるため、日付のない情報は翌年には使えません。家族が見られる場所に置き、年に1回は確認し直します。

このページで扱わないこと

持ち出す荷物の中身と重さの決め方、置き場所の分け方は、防災バッグの中身のページで扱います。避難所に到着してからの受付と飼育場所の運用は、避難所受け入れのページで扱います。そもそも家にとどまるか移動するかの判断は、在宅避難との比較のページにまとめてあります。

まだ何も準備を始めていない場合は、今日の30分で終わる作業から入るほうが進みます。準備リストが手元にあってどれから埋めるか迷っている場合は、埋める順番を扱ったページを先に見てください。抜けがないかを短時間で見たいときは、チェックリストのページが向いています。このページは、家を出るまでの動き方だけに絞っています。

よくある質問

同行避難ができれば避難所でペットと一緒に過ごせますか

同じとは限りません。同行避難は避難先まで一緒に移動することを指す言葉として使われ、避難先で同じ部屋にいられるかどうかは施設ごとの運用で決まります。屋内の別室、屋根のある屋外、飼い主が同室のいずれもあり得ます。言葉で判断せず、指定されている避難所の名前を挙げて、飼育場所が屋内か屋外か、飼い主が同じ建物にいられるかを窓口に確認してください。

同行避難の準備は何から始めればいいですか

まだ何も手をつけていない場合は、家を出るまでの分担を書く前に、写真とうちの子の情報を1枚にまとめるところから始めるほうが進みます。所要時間の短い作業から並べた手順は、防災を今日から始める手順のページにまとめています。ある程度そろっている家庭は、このページの分担と経路の確認に進んでください。どちらも買い物より先に終わります。

家族が全員外出している時間に災害が起きたらどうしますか

その時間帯は自分で連れ出せないため、家に入れる人を先に決めておくことになります。誰が鍵を持つか、どういう状況で家に入ってよいか、何時間連絡がつかなければ動いてもらうかを事前に取り決めます。一人暮らしの家庭向けの決め方は別のページで扱っています。連れ出したあとに預ける先が要る場合は、預け先のページを合わせて見てください。

避難するかどうかはどう判断すればいいですか

避難情報や気象情報は自治体と気象庁の発表に従ってください。そのうえで、建物に損傷がないか、周囲の状況、動物を連れ出せるかの3点を見ます。家にとどまる選択が取れるかどうかは条件があるため、在宅避難の可否を項目で判定するページを先に読んでおくと、当日の迷いが減ります。体調に不安がある動物がいる場合は、動物病院に相談してください。

確認に使う一次情報

この備えに使う防災用品

まだ迷うときは|無料ツールと相談

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最終更新: 2026-08-25 / 編集: ペット防災室編集部(株式会社Mycat)。

このページは家庭内で情報を整理するための資料です。診断・治療の判断はできません。体調の変化があるときは動物病院に相談してください。避難の可否や方法は、お住まいの自治体および避難所の指示に従ってください。